西加奈子さんの「きいろいゾウ」を読みました。
以前にエッセイ「この話、続けてもいいですか?」(タイトル最高!)は読んだことはありました。
話としては、田舎で暮らし始めた若い夫婦が、日々暮らしていくなかで、ふたりそれぞれ心にひっかかっていることがあることに気づき、それを解決していくことで、お互いの存在を確かめあう。。。そんな話です。いろいろな出来事もそれぞれおもしろいし、文章もおもしろかったです。
まず、最初に必要なもののリストがあって、童話風のきいろいゾウの話が2ページあり、それからツマとムコさんの日記が交互に続いていくという構成にまず惹きつけられました。最初にエッセイを読んでたせいか、ツマの文章にどうしても西さん本人のイメージを重ねてしまいました。
いっぱい好きな場面はありますが、特に登校拒否で田舎のおばあちゃんとこにいた小学生の大地くんがツマに手紙で自分の気持ちを伝える場面がぐっときました。好きだけどお互いに事情というか障害があり(小学生と大人だし、ツマは既婚者だし)、それを知りつつも、好きと伝えるという、そんな切ない気持ちに共感してしまいました。それにツマも返事を手紙で書くんだけど、結局出さなくて。。。このへんは小説だからできる表現ですよね、いいなと思いました。あと、メガデスの場面もよかったなぁ。
最初はツマとムコさんの話の間にきいろいゾウの話が入っているように感じたのですが、何度も読んでると、だんだんきいろいゾウの話にツマとムコさんの話のがあるような、きいろいゾウの話のためにツマとムコさんの話があるような、そんな読み方になってきちゃって、「ふたりがであうのはいつかって?それはおつきさまだけがしっています」のところで泣いてしまいました。
あとは、キングトーンズの「グッド・ナイト・ベイビー」の使われ方がすっごくよかったです。切なくなったり、悲しくなったりしました。
最後にもうひとつだけ引用を。。。
強くても、弱くても、人間 つよしよわし だって。ちょっといいよね?